トラクターやコンバインなど、今日の農業機械のルーツをたどっていくと、鍬や鎌などの道具類、自然の力を利用した水車などの装置、牛や馬などの家畜、最終的には人の手足にたどり着きます。
こうした能力は、現代から見れば、あまりに非力で未熟なレベルかもしれませんが、そこには、先人たちの知恵と工夫の跡をうかがうことができます。
農業先進県と言われる岡山県。各地で営々と取り組んできた農業の足跡を探訪します。
トラクターやコンバインなど、今日の農業機械のルーツをたどっていくと、鍬や鎌などの道具類、自然の力を利用した水車などの装置、牛や馬などの家畜、最終的には人の手足にたどり着きます。
こうした能力は、現代から見れば、あまりに非力で未熟なレベルかもしれませんが、そこには、先人たちの知恵と工夫の跡をうかがうことができます。
農業先進県と言われる岡山県。各地で営々と取り組んできた農業の足跡を探訪します。
〒719-1102 岡山県総社市東阿曽
TEL なし
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今回ご紹介する「足守民具里の駅」は、これまでの資料館とは違い、いたってコンパクト。それもそのはず、昔の民具や農機具を大切に保管し、後世に伝えたいという有志の方々が、地域の方に呼び掛けて収集。これを展示公開している施設です。いわば、手作りの資料館。
建物は、元木工作業場。この建物の内外に、100名近くの方から寄贈された200点以上の民具、古い農機具が納められています。 「足守民具里の駅」の代表は、駅長の城木(じょうき)さん。かつて教員をされていた方で、その運営や取り組みも、元教員らしいユニークなものです。
普通、資料館に収められた収集品は、見学のみ可能の場合が多いのですが、こちらはちょっと違っています。実際に手に触れて、さらには動かすことができます。
もともと「足守民具里の駅」は、「昔の生活の様子を子どもたちに伝えたい」との気持ちから取り組み、当初から「実体験できる場」であることを念頭に置いていました。 ここでぜひ体験してみたいのが、2台ある「縄ない機」。脱穀の終わった稲藁を使って縄を作る機械です。操作は簡単なように見えますが、タイミングとコツを掴むことが必要。昔の人が一生懸命に考え、作りだした機械であることを、強く実感できることでしょう。
駅長の城木さんは、元技術家庭科の教員らしく、自らミニサイズの民具を製作し、これを小学校に持ち込んで出前授業を行っています。 米づくりの工程を物語風に紹介した手作り模型は、城木さんの語りと相まって、昔の農業の様子をいきいきと再現していることでしょう。
なお、館内は無人のときもありますが、その際も、自由に見学することができます。一歩足を踏み入れたら、さながら、昔の農家の納屋に入り込んだような気分。 この雰囲気こそ、この資料館の一番の魅力かもしれません。
よってみられー
なんとも親し気なウエルカムボードです。気軽に誘われたら、気軽に入るしかありません。ここには常に誰かがいるわけではありません。ではさっそく、入館させていただきましょう。屋根の下に、田植えの道具
大きな竹籠が二つ。これに稲苗の束を入れて、天秤棒で担ぎ、田植えをする田んぼまで運びます。 現代の田植え機は、小さな苗の状態で植えていきますが、昔はこれよりももっと大きく成長した苗を、数株ずつ手で分けて植えていたのでした。手押しポンプとつるべ井戸
入り口横には井戸の様子が再現されています。水道のない時代、どの家庭や集落でも見られた道具たちです。水車のミニ模型
小さな水車小屋の模型がありました。地元小学生の授業のために作成されたとか。 かつて、岡山中心部を流れる西川緑道公園に、本物の水車が設置されていました。故障して動かなくなってしまい、修理できる職人さんもいないため放置されていましたが、結局、撤去されてしまいました。水車も絶滅危惧種なんですね。木製一輪車
これも立派な農機具です。米俵や炭俵など、荷台いっぱいに積んで運んでいました。木製ですが、その立派な造りに、農業従事者に対する溢れる心意気を感じます。館内の様子
中央には唐箕が置かれてあり、実際に触れて動かすことができます。シンプルな構造&仕掛けの、農業機械の原点。ぜひ、体験を。縄ない機
実際に動かすことができます。藁を数本ずつ、二つの投入口から差し込み、機械を動かすと、あら不思議、するすると縄が編まれ、きれいに巻き取られていきます。織機2台
手前がい草・畳表の織機。向こうにあるのが、むしろの織機。雨の日など、外での作業ができないときは、織機に向かって、一日作業をしていたのでしょう。「足守民具里の駅」紹介ボード
ここの収蔵品は、近隣の方々が寄贈されたものです。その数、約250点。1)農具の体験ができ 2)民具(ミニチュア)の出前ができ 3)出前授業ができる 4)昔あそびができる を特徴とする常設展示場、と書かれてあります。