トラクターやコンバインなど、今日の農業機械のルーツをたどっていくと、鍬や鎌などの道具類、自然の力を利用した水車などの装置、牛や馬などの家畜、最終的には人の手足にたどり着きます。
こうした能力は、現代から見れば、あまりに非力で未熟なレベルかもしれませんが、そこには、先人たちの知恵と工夫の跡をうかがうことができます。
農業先進県と言われる岡山県。各地で営々と取り組んできた農業の足跡を探訪します。
トラクターやコンバインなど、今日の農業機械のルーツをたどっていくと、鍬や鎌などの道具類、自然の力を利用した水車などの装置、牛や馬などの家畜、最終的には人の手足にたどり着きます。
こうした能力は、現代から見れば、あまりに非力で未熟なレベルかもしれませんが、そこには、先人たちの知恵と工夫の跡をうかがうことができます。
農業先進県と言われる岡山県。各地で営々と取り組んできた農業の足跡を探訪します。
〒701-2503 岡山県赤磐市周匝136
TEL(086)954-1379(吉井公民館)
休館日 | 土曜・日曜・祝日(振替休日を含む)、 年末・年始の休業日 |
開館時間 | 9:00〜17:00 |
入館料 | 無料(入館前に受付へ) |
初回にご紹介するのは、淵本重工業から車で20分程度のところにある吉井郷土資料館。
赤磐市役所吉井支所の敷地内にあり、立派な木造建築が目印です。この建物は旧仁堀小学校の本館を縮小移転改築したもので、昭和初期のモダンな洋風建築。資料館として昭和59年に開館しました。
館内は3室の展示室があり、郷土の文化財や民俗資料を保存展示してあります。
農具や山仕事の道具をはじめ、昭和の中頃まで使用されていた日用品、この地域の小学校資料などを展示しています。
町村合併により赤磐市が誕生したのが平成17年。旧吉井町は市の北部に位置しています。
赤磐市は県内でも屈指の果物どころで、白桃をはじめ、あたご梨、新高梨、マスカット、ピオーネなどが生産されています。お米は岡山の代表的銘柄「朝日」のほか、酒造好適米「雄町」の主要産地。館内には、近隣の農家の方々から寄贈された、たくさんの農具類が展示されています。
唐箕(とうみ)
なんと、これは木製の農業機械です。二人一組で操作し、ハンドルを回すと中の羽根が回って風を起こし、上部から脱穀した穀物を少しずつ入れ、風によって、重さ別に選別する仕組み。コンバインが普及する昭和30年代まで、県内各地で広く使用されていました。唐臼(とうす)
籾をすって、玄米ともみ殻に分ける道具。人力や牛を使って回しました。二人がかりで、一日に7-8俵擦れたらよかったそうです。せんばこぎ
木の台に、鉄製の平歯を櫛状に埋め込んだ脱穀器具。稲穂を数株ほど手に持ち、手前に引いて脱穀します。田草とり機
田植え後の草取りは重労働でした。腰をかがめての作業から解放したのが、この手押し式の除草機。形状から、ドンガメ、オタフク、などと呼ばれました。手押し稲刈り機
機械らしい形状をしているこれは、バインダー稲刈り機の少し前に考案されたもの。稲株を勢いよくはさんで、刈り取る仕組みです。製縄機
脱穀を終えた稲藁を編んで、縄を作る機械です。今ではコンバインが稲刈り、脱穀、稲藁の細断まで同時に行うため、稲縄は、貴重な存在となりました。揚水機
水をくみ上げるポンプ。石油発動機を動力に、ベルトで駆動させ、低い位置の用水路から田へ水をくみ上げていました。高瀬舟の櫓
収穫された農産物や加工品は、高瀬舟に積み込まれ、吉井川を下って河口の岡山・西大寺へと運ばれました。櫓と船体の一部が展示されています。吉井郷土資料館の近くを流れる吉井川。この川は、古くから出雲地方と近畿を結ぶ交通の要路として開けました。船底の平らな高瀬舟はなんと、室町時代末期から昭和の初めまで使われてきた歴史を持ちます。
津山からの下り荷は、米などの農産物、繰綿、薪、炭、鉄など。岡山や西大寺からの帰り荷は、塩、油、藍玉、日用雑貨、海産物など。鉄道や自動車が普及するまでの物流の主役を担っていました。館内には片瀬船の櫓が展示されています。また、変わったものとしては、昔あった映画館の大きな映写機。このエリアの方々に娯楽を届けてきた昔日を物語っています。