気候温暖で、年間平均値(岡山市)は気温16.2度、降水量1,105o、日照時間2,030時間と、農作物の栽培に適した地。また、台風や地震などの自然災害が少ない県としても知られています。
恵まれた気候、立地の良さを活かして、岡山県は伝統的に「農業県」の顔を併せ持っています。
当社が作る機械部品の多くは、じつは大型小型の農業機械用。
農業と縁が深いことから、農業の面から見た、岡山の魅力や特徴をご紹介していきます。
春4月の岡山は、とにかく春色にあふれています。誰もが大好きな桜の花が咲くと、時を合わせるかのように、桃畑の桃の花が一斉に開花。写真でおわかりのように、桜よりも華やかなピンク色。岡山市内からほんの15分ほどクルマを走らせた丘陵地に桃畑が広がり、桜と桃の花の華麗な二大競演を堪能できるという贅沢さ。
ああ、岡山って、本当にいいところだなあと自画自賛していいですよね。
桃の花は、夏になれば、みずみずしい果実に変身するわけですが、他の農産物と全然違うのは、作業のほとんどを手作業で担っていること。一本一本の桃の枝、一個一個の桃を、丁寧に育てているのです。
桃栽培のざっとした流れをご紹介しましょう。
1−2月は選定作業
甘くておいしい桃を作るために、日当たりや風通しを考えて、伸びた枝を選定します。
3月 摘蕾(てきらい)
桃の蕾を間引きします。蕾すべてを果実にすると、大きな桃を作ることができません。花開く前に、もったいないですが、蕾の状態で間引いていきます。
4月 摘花、人工交配
花開いた時にも間引きをします。桃には花粉があるものと、花粉がないものがあります。有名な白桃は花粉がない種類。なので、人工的に交配します。ここでも人の手が頼りです。
4−6月 摘果
立派に育ちそうなものだけを残し、あとは摘み取ります。基本的には、下を向いた果実を、一枝にひとつだけ残す感じ。
5−6月 袋かけ
収穫前の桃に袋をかけます。日焼けしないようにします。
7月 収穫、袋はがし、出荷となります
これだけの手間暇をかけ、収穫時期がほんのわずかの期間ですので、白桃だと一玉500円から1000円と、どうしても高価になるのです。納得いただけましたでしょうか。
桃と並ぶ岡山の特産品、マスカットにおいても、岡山県農業の先進性を見ることができます。 明治10年代に、政府は欧州ブドウの栽培と醸造技術の確立を目的として、国営のブドウ園を兵庫県稲美町に立ち上げました。日本初のガラス温室も整備されたこのブドウ園に、岡山から二人の男が通います。ここで栽培技術を学び、岡山の気候に適した品種を模索。自分たちの手でガラス温室を建設し、ここから岡山におけるブドウ作りが始まったのです。 じつは、マスカットはマニュアル通りに作っても、なかなかうまく作れない品種。全国に挑戦する人が現れましたが、思うような成果をあげられず四苦八苦。ところが岡山では農家の人たちが営々と工夫と努力を重ね、やがて量産を軌道に乗せます。こうして、全国一の生産地となったのでした。 農業も、私たちの分野である機械部品製造も、日々の努力と研鑽あってのもの。 おいしい果実=成果は、ただ待っているだけでは手にすることはできない、というお話でした。