その姿形と同じように、ヤマネはなんとも可愛らしいエピソードの持ち主です。冬に木を切っていると、木の中から冬眠中のヤマネがコロコロと転がり出
てくることがよくあったことから、林業に携わる人はヤマネを山の守り神としてずっと大切にしてきた、というものです。なんとも、ほほえましい話ですね。
その冬眠ですが、いつもなら20グラム程度しかない体重が、冬眠前には2-3倍にもなり、体内に蓄えた脂肪で一冬を越します。かなりな寝ぼすけらしく、人がさわっても目を覚まさないほどです。報告では、山の別荘の軒下や家の中、はてはぬいぐるみの中、靴の中、ピアノの中から発見されたというケースもあるそうです。おかしいですね。
さて、こんな愛嬌たっぷりのヤマネですが、その一方で、野生ならではのたくましさも持ち合わせています。約2000万年前の地層から化石が発見されたこと
から「生きた化石」とも呼ばれています。すごい生命力の持ち主というわけです。こんな小さな身体でありながら、摩訶不思議なメカニズムの異温動物。厳しい
環境の変化にも、抗うことなくすんなり対応する。それでいて愛嬌たっぷり。まるでスモールカンパニーのお手本を見るようではありませんか。
大きさはニワトリの卵より小さい程度 |
冬眠中は体をボールのように丸めます。別名「マリネズミ」
※やまねミュージアム(環境研究所)から転載 |