過去のおいんでんせえ
バックナンバー:第六幕『岡山の温泉』
小森(こもり)温泉

◆場所◆
岡山県吉備中央町小森245
◆アクセス◆
JR福渡駅から中鉄バス尾原・福沢行きで25分、バス停:小森温泉下車
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◆日帰り入浴◆可
入浴料:大人520円
小森温泉観光ホテル
TEL:0867-34-0015

備前藩主池田のお殿様も
ざんぶりとつかった湯に我が身を沈め、
ああ天下泰平の極楽気分なり。

ラーメン屋などで、ときにメニューはラーメン一品のみ、などという潔い店がありますが、さしずめ小森温泉は、「備前藩主池田綱政が享保年間に湯治場として開いた温泉」という一点のみを前面に押し出した温泉。世間に媚びることなく、建物も昭和20年代の古いまま。いい風情を醸し出しています。
薄暗い玄関をくぐって靴を脱ぎ、靴は左の靴棚へ。誰かが迎えてくれるというわけでもありません。案内板に沿って歩を進めると、川をまたぐように廊下は続きます。うーむ。昔ながらの湯治場の雰囲気がそのままではありませんか。管理人の方のいる厨房に向かって声をかけ、入浴料を払って、狭い階段を伝って階下の浴室へ。天井の低い脱衣場には、かごが数個無造作に置いているだけという質素ぶり。泣かせます。さて、浴室。小ぶりな浴槽がひとつあるだけですが、さすが殿様が愛でたお湯だけのことはあり、細かい白い湯の花が浮遊し、やがて肌はツルツルに。ただただ良質の温泉を楽しむこと・・・。小森温泉の魅力はこの一点に尽きます。足元の狭い窓から下を見れば、川のせせらぎに水車も。うーん、レトロ。うとうととまどろむうちに、山間に夕暮れは迫ります。そろそろカラスと一緒に帰るとしますか。池田候、まことにいい湯をごちそうさまでした。明日の元気を、しかと頂戴いたしましたぞ。