過去のおいんでんせえ
バックナンバー:第六幕『岡山の温泉』
足(たる)温泉

◆場所◆
岡山県真庭市都喜足346ー1
◆アクセス◆
米子自動車道湯原ICから国道313号を勝山方面へ4km
◆地図はこちら

◆日帰り入浴◆可
入浴料:大人420円、小学生210円
足温泉館
TEL:0867-62-2966

西の横綱の、太刀持ちか、はたまた露払いか。
小兵なれど温泉好きに愛される高い効能と純朴な風情、
いまも、むかしも。

足と書いて<たる>と読みます。いや、読ませます。語源になったのは「樽」。ではなぜ、足の字と樽が合わさったのかというと、 戦国時代に高田城主が、武士達の刀傷を癒すため樽詰にした湯を送ったと伝えられ、この故事にちなんで樽(足)温泉と名付けられました。現在でも、創傷に効く湯として知られています。
この温泉があるのは、第65話で取り上げた真賀温泉の上流約600メートルの旭川の河原横。ここからさらに6キロほど北上すると、露天風呂の西の横綱として名高い湯原温泉(62話)。これら足温泉、真賀温泉、湯原温泉の3つを総じて湯原温泉郷と呼びます。
湯原温泉が横綱ならば、足温泉、真賀温泉はさしずめ太刀持ち、露払いといったところでしょうか。小兵なれど、なかなかにいい味わいの温泉です。昭和40年代後半、大相撲に郷土岡山出身で「鷲羽山」という小兵の力士がいました。身体は小さいながら、俊敏な玄人好みの相撲をとり、相撲ファンから長く愛されました。こちらの足温泉も、宿はわずか4軒と小規模ながら、落ち着いた山間の風情に惹かれ、湯治客が途切れることのない人気を維持しています。小粒で地味なれど、存在感ある個性・・・。企業のスタイルもまたしかり。こういう一途さを、大切にしていきたいものです。