日本三名園の一つ、岡山・後楽園。その後楽園の、初夏の風物詩が「お田植え祭」です。天下の名園の中に田んぼ・・・?意外な組み合わせに驚かれるかもしれませんが、築庭当初はさらに広い田畑があり、そこでさまざまな作物が栽培されていました。菜園地が庭園構成の一部になっているのは江戸時代の大名庭園の特色だそうで、後楽園の名称は後に名付けられ、当時は「御菜園場」と称していたそうです。
さて、そのお田植え祭。田植え歌と太鼓に合わせて、花笠をつけた早乙女たちが苗を植えていきます。なんとものどかで美しい光景ですが、こうしたお祭りのような田植え風景は、昭和30年頃まで備中北部の山村でよく見られました。田植えは腰をかがめるなんともつらい仕事。そんな田植え作業をみんなで協力し合って少しでも楽しく、かつ能率を上げ、疲れを癒すと共に、田の神に豊作を願うという習俗と結びついて受け継がれてきました。
農作業の省力化のための農業機械は、その頃から急速に普及し、農村の姿を大きく変えていきました。当社は各種の大型農業機械用部品を製作していますが、この昔ながらの田植風景を見るにつけ、この50年ほどの農業機械の進歩ぶりには感慨深いものがあります。
水温み、いよいよ田畑がいきいきとした表情を見せる季節の始まりです。農家の皆さん、そして、我々の技術がかかわった各種の農業機械に、無事と幸運(耕運)あれ。 |