過去のおいんでんせえ
バックナンバー:第五幕『岡山のお祭り』
 加茂大祭(吉備中央町) 開催時期/10月第3日曜日

お祭りといえば、御神輿(おみこし)。御神輿を担ぐお祭りは、それこそ全国津々浦々にあります。絢爛豪華さや大きさを誇る御神輿も各地にたくさんあることでしょう。源流はなんと900年前の平安時代まで遡るといわれる岡山県吉備中央町の加茂大祭(かもたいさい)。岡山県三大祭りのひとつに数えられるほどに、このお祭が特別なのは、その準備段階から祭り当日まで、古式の慣例そのままに受け継ぎ、雄々しくも厳かに執り行われていることにあります。
大祭当日は町内8つの神社から、伝統の衣装を身にまとった担ぎ手たちの行列が、総社宮に一堂に繰り込み、クライマックスを迎えます。その間、総社へ集まる道中での他の神社と出会ったときの挨拶のしかた、総社境内に入る行列の順番、さらに参観者のきまりに至るまで、じつに細かい規則に従って大祭は執行されます。
せせらぎの音が聞こえる河原では、秋の一日、あちこちでお弁当が広げられ、招かれた祭客、近隣住民をひとつに包み込む、ふれあいの一大空間となっています。派手さを競うわけでもなく、時代に媚びるわけでもなく、何ともすばらしい時間を共有しあう、昔そのままの祭風景ではありませんか。
時代を超えて営々と受け継がれるもの。その核には、人と人をひとつに結ぶエネルギーが潜んでいます。企業もまた、永遠に存続し続けることこそ究極の命題。人と人、人と社会を結び、未来を拓く一助となる・・・。この強い想いこそ、企業のパワーそのものではないでしょうか。
私たちには伝統と呼べるほどの歴史はありませんが、常に革新と挑戦を続け、その積み重ねが、やがて私たちの歴史を形作ると信じています。