過去のおいんでんせえ
バックナンバー:第四幕『岡山の郷土品』
 下津井のタコ

波穏やかな瀬戸内。さざ波さえ立たない「ベタ凪(なぎ)」と呼ばれる夜などは、海面にくっきりと月の光の反射帯が自分に向かってまっすぐに伸びてくる様は、神々しささえ感じてしまうほどです。
そんな穏やかな瀬戸内でも、潮の流れの速いところがいくつかあり、とりわけ好漁場となっています。
瀬戸大橋・児島-坂出ルートの岡山県側の玄関、倉敷市児島下津井地区。ここの速い潮の流れで育ったタコは格別の味わい。私たちがふだん口にするスーパーに並ぶアフリカ沖産等のタコとは趣を異にし、ねっとりと甘く、コリコリとした歯触り。その深い味わいに、きっと驚かれることでしょう。
産卵を終えたタコを竹ヒゴに張った干しダコが並ぶ様は、晩秋から冬にかけてのこの地区の風物詩です。
人間も同じ。自ら厳しい試練をくぐり抜けた者ほど、人間としての深い味わいを醸し出します。噛んでも噛んでも味がでる美味さ加減・・・・我々流に換言すれば、期待に応え、信頼を増すほどに、さらに期待も高まる、とでも申しましょうか。そんな、一本強いシンの通った企業であり、技術者集団でありたいと思うのです。
己を鍛え、高める、厳しい課題。・・・望むところです。