過去のおいんでんせえ
バックナンバー:第四幕『岡山の郷土品』

 備前焼(びぜんやき)

岡山県の特産品の代表といえば、やはり備前焼、でしょうか。
備前焼の歴史は古く、平安期から1000年もの歴史があり、瀬戸、常滑、丹波、信楽、越前とともに日本を代表する六古窯の一つに数えられています。備前焼の魅力は、華麗な装飾を一切排し、絵付けも、釉薬さえもなし。土の形を整え、約1,300度の炎に約2週間も焼かれて、窯出しされます。備前焼が「土と炎の芸術」と呼ばれるゆえんです。
備前焼は、茶器、花器が代表的ですが、そういう風雅な趣には無縁という御仁には酒器がおすすめ。手によくなじみ、二つと同じ表情のない盃に徳利。酒をいっそうおいしくする効果もあると言われています。ビール党にはビアマグを強く推薦いたします。ガラスコップと違う、きめ細かな泡がおいしさをいっそう引き立てます。
産地の岡山県備前市伊部(いんべ)地区には、300人余りの作家・陶工たちが伝統を受け継ぎつつ、腕を磨いています。一芸に秀でるには、精進あるのみ。作家・陶工たちの心意気は、そのまま我々の技術世界に生きることの定めに通じるものがあります。ものづくりニッポン、復活!。最後の決め手はやはり、情熱という燃えさかる炎の温度だと思うのです。