過去のおいんでんせえ
バックナンバー:第三幕『岡山の美術館・博物館』
倉敷考古館
美観地区の最も古い建物の一つ。吉備地方を中心に出土した縄文時代の土器・石器から、インカ帝国の土器・織物・民具、古代中国の出土品等を展示。

〒710-0046
倉敷市中央1丁目3-13
TEL (086)422-1542

河畔に並ぶ柳の新芽が風に揺られて、蔵屋敷が建ち並ぶ倉敷市の美観地区は、一年で最も美しい季節です。
大原美術館やアイビースクェア、倉敷民芸館を覗いてみたり、また、陽気に誘われて路地裏散策や民芸店めぐりも楽しいもの。ありました。そぞろ歩きしながら見つけた、いかにも倉敷な撮影スポット。石造りの橋のたもとの、白と黒の貼瓦が美しい土蔵をバックに、携帯カメラで写真をとりあう姿がひきもきりません。記念切手の図柄にもなり、ガイドブックには必ず登場するこの土蔵こそ「倉敷考古館」なのです。
建物は約200年前の米蔵を改良して昭和25年に開館。この施設、じつは民間が運営しており、自治体からの補助等を受けていないため、説明パネル類も紙に手書き文字と、いたって質素。全館、手作り感覚に満ちています。展示品は、倉敷市をはじめ、瀬戸内海に面した岡山県一帯の、旧石器時代からの考古学的な資料。古代吉備国の遺跡から発見された石器・骨角器・土器・青銅器・鉄器などなどです。華やかさこそありませんが、独自に発掘調査や研究を続け、この地域の考古学を牽引してきた様子がうかがえます。
武骨なれど、主張をもって堂々と我が道を行く・・・。そんな明治男のような一本筋ある気質が、建物全体から伝わってきそうです。