その姿を目にしたとき、誰しも「よくぞここまで」と感嘆の念を抱かずにはおれない醍醐桜の見事なる立ち姿。山道を分け入り、駐車場に車を止め、めざす醍醐桜まで歩くことしばし。小高い丘の上に、ただ一本のみ、力士のようにどしりと立ち、訪れる人を足元へと招き寄せる。周辺の野も、山も、空も、ただただこの桜のためにあると感じさせてしまうほどの圧倒的な存在感。樹齢七百年、あるいは一千年ともいわれる。根元周囲9.2メートル。高さ20メートル。名前の由来は、隠岐に流される途中の後醍醐天皇がここに立ち寄り、桜を鑑賞したという言い伝えから。今も昔も、人を惹きつけてやまない名桜中の名桜、ここにあり。 |