総社市井尻野にある、臨済宗東福寺派の寺院。山号は井山(いやま)。このお寺が名高いのは、国指定重要文化財である三重塔。そしてもうひとつが、あまりに有名なお寺にまつわる逸話です。室町時代の水墨画家・雪舟が子供の頃、出家して修行中に絵ばかり描いていたので、師僧が怒って寺の本堂の柱に縛りつけた。ポタポタと落ちる涙。その涙で足を使って鼠を描いたところ、その鼠が動き出した・・・。あるいは、夕方になって師僧が縄を解こうとすると雪舟の足もとに鼠がおり、追っても逃げない。それは涙で描いた絵だった・・・というお話。その舞台となったのがこのお寺なのです。吉備路に数ある史跡のなかでも、なんとも可愛くて、ほほえましく、親しみを感じてしまう逸話です。 当時の水墨画家たちが中国に行かずに中国の風景を描くことに疑問を感じた雪舟は、自ら中国に渡り、やがて彼の才能は本場の中国の人々をも驚かし、画聖と称せられるまでに大成します。郷土生まれの雪舟の遺徳をしのび、毎年秋には宝福寺で雪舟茶会が開かれています。 |