過去のおいんでんせえ
バックナンバー:第十四幕『いやしスポットめぐり旅』
岡山いやしスポットめぐり旅
静かな町が、一年にたった一晩だけ、
世にも奇怪な裸激突の渦を生む。
岡山市東区西大寺。
三丁目の夕日的たたずまいに身を置いてみたの巻。
おいでんせえ西大寺編

どうやら「人の営みの蓄積」には、人を癒やす力があるみたい
前回、津山市を訪れたとき、ちょっとした発見がありました。自身は鉄道オタクではないけれど、歳月を重ねた車両には、人格というか、風格というか、人を引きつけるオーラが確かに存在したのです。なんだか心惹かれ、懐かしく、ふるさとの地に足を踏み入れたような不思議な安堵感を感じたのでした。
そう。これは癒やし成分だ、と。
日本各地に残る古い街並みや寺社仏閣が、常に人を引きつけるのは、こうした癒やし作用もあるからなのでしょう。

西大寺観音院

西大寺観音院

はだかまつりの彫刻二体

はだかまつりの彫刻二体

シャッターにも裸の男

シャッターにも裸の男


で、今回訪れたのも、古くから人の営みの歴史があり、いまや貴重な、昭和初期の面影を残す岡山市東区西大寺地区。
映画「三丁目の夕日」の映画ロケにも使われた古い建物が町筋に点在しています。
歩くほどに癒やされるはず、と踏んだその結果は・・・。

おお、三丁目の夕日的世界があるわ、あるわ

岡山の三大河川のひとつ、吉井川河口近くの物流拠点として栄えてきた歴史を持つ西大寺地区。現在の様相は、全国どこにでも見られるような衰退基調。シャッター通りが目につく。だが、この界隈を稀な存在として特徴づけているのが、大正・昭和の面影を残す建物、町筋がひっそりと残っていること。いまや、全国的に貴重な風景だ。映画「三丁目の夕日」のロケ地になったことで、関心を集めるようになっている。
足を進めるごとに、おお、さっそく懐かしい気分に浸ってきたぞ、と。
当時としてはモダンであったはずの建物や看板建築が目にとまり、ついつい足を止めてしまう。郵便局、雑貨屋さん、眼鏡屋さん、いまは営業していないお風呂屋さんなどが点在する。それにしてもここの銭湯、入ってみたかったなあ。

西大寺地区

こんな町筋が続くのです

西大寺地区
西大寺地区
西大寺地区

西大寺地区
西大寺地区
西大寺地区

お風呂屋さん

西大寺地区

名物「笹の葉せんべい」


熱狂はだかまつりのシーズンが今年もやってきた

西大寺といえば「はだかまつり」と言うくらい、全国的に知られた奇祭がある。
毎年2月、酷寒時期の深夜に、まわし一丁の男たちが、西大寺観音院で一対の宝木(しんぎ)の争奪戦を繰り広げるという伝統の行事だ。なんとその歴史、500年。ハイテクのこの時代でさえ、このアナログ催事に毎年数千人が参加。この摩訶不思議さがタマラナイ。
訪れたのは祭当日の二週間前。境内はいつも通りの静かなたたずまい。階段脇では祭準備の足場づくりが行われていた。
しばらくすると地元の高校生たちが清掃奉仕で出現。ああ、日本のいい風景だ。
はだかまつりは荒々しいばかりではない。争奪戦に参加したはだかが着用したまわしは、出産を控えた女性の安産守りになるという。なんともほほえましい一面もあるのだ。

西大寺はだかまつり
西大寺はだかまつり 西大寺はだかまつり
西大寺はだかまつり 地元の高校生たちが清掃奉仕
軽便鉄道、通称「けえべん」の面影を追って。

西大寺観音院と並んで、もう一つ、この町にはシンボルがあった。かつての軽便鉄道である。
西大寺−岡山間を結び、終着駅は後楽園そば。現在の、夢二郷土美術館のあるところに駅舎があったそうだ。
軽便が走っていた路線は、一部は歩行者・自転車道になっており、面影を求めて足を伸ばしてみた。路線は分断されており、住宅地や道路になったところもある。なので、旧大多羅駅の駅舎あたりで断念。西大寺駅舎のあったバスセンターまでもどり、ふと上を見るとこれまた年代を感じさせる、近県各地のレトロな観光案内看板が並んでいる。
現在と、ちょっと昔と、すごい昔が仲良く混在する有り様にニンマリしつつ、夕焼けを背に西大寺の町を後にしたのでした。

軽便鉄道
軽便鉄道

軽便鉄道
軽便鉄道
軽便鉄道