突然ですが、クイズです。岡山にはどのくらいの数の滝があるのでしょうか?。
答え。10?20?。いやいや、もっとあるのです。岡山県内に○○滝と名前がついているものだけでざっと300あまり。なかにはもう、水源が涸れてしまったものもあるのですが、数ある滝のなかで、キングオブ岡山の滝の座に、ずっと居座り続けているのが、岡山県真庭市にある神庭(かんば)の滝。神様の庭の滝、と書きます。ネーミングだけでもすごいじゃないですか。
マイナスイオン効果と共に、神様のパワーもいただこうと、出かけたのであります。
岡山市から北へ1時間ほどで、真庭市勝山町へ。旭川の川岸には、その昔、物流の主役であった高瀬舟に荷物を積み下ろしするための石組みの階段が残っております。なんとも心落ち着く風情。さっそくじわじわと癒やされてきました。
ここからさらに車で10分ばかり走ると、神庭の滝の案内看板発見。少し山道に入った行き止まりが駐車場。訪れたのは10月半ば。紅葉が始まっており、なかなかいい雰囲気です。滝をめざして歩いていると、「猿に注意」の看板。ここには猿もいるのか!と、悪ザルにカバンやカメラを盗られないようにと身構えますが、「本日は猿いません」の告知。ここでは毎日、猿予報があるのだそうです。入園料300円を払い、いざ、滝へ。
県下で唯一、日本の滝百選に選ばれただけのことはあります。マイナスイオンを全身で受け止めようと、滝の真下をめざします。が、衣服が濡れてしまうほどの近くにまで寄るのはダメでした。滝からの風通しがいい、ぎりぎりのポジションのところで、恩恵を受けるべく、しばらく突っ立っておりました。
滝の姿も見事だけど、まわりの景色がいい。水の音しか聞こえない。観光客でごった返しているわけでもない。遠慮することなく、堪能できたのでした。
勝山には勝山竹細工という伝統的工芸品があります。職人が高齢化し、後継者不足で技術の伝承が難しくなっていますが、数年前から一人の若者が勝山竹細工を受け継いで、工房を開き、伝統的な竹製品を創っています。
平松幸夫氏。彼の工房にお邪魔しました。
当社の機械加工技術は、常に時代の先端を追いかけるものですが、竹細工は古来からの技術を受け継ぎ、次代に受け継いでいくことが本題。技術の性質や立場こそ違え、技に真摯に取り組む姿は、そのまま当社の若手社員と共通するものです。
元職人の方のアドバイスや、先人が残した品物を手本に、ほとんど独力で奮闘する姿に、同じ技術を極めようとする者として、エールを送りたい気持ちでした。
勝山の町を散策していると、思わぬ方の「いやし接待」を受けました。地元の、酔っ払い(失礼)のおじさんです。ちょうど秋祭りの準備をしていたので、どこかで一杯やったのでしょう。昼食の弁当を食べていると、なぜだかにこやかに近づいてこられ、見ず知らずの私に、この町の案内役を申し出てくれました。お言葉に甘えて、あちこち散策。いい勉強になり、親身なご接待に癒やされました。
おじさんと握手して分かれて、帰路につくことにしますが、帰りの地図を見ますと吉備中央町に「小森温泉」があります。ここは岡山藩・池田の殿様も通ったという温泉。さぞかし泉質がいいはずと、立ち寄ります。
レトロな外観。建物の中もレトロ。昭和30年代の雰囲気そのまま。温泉といっても、二つに仕切った湯船がひとつあるだけ。媚びることのない、この潔さが素敵です。入浴料600円。硫黄の香り。ツルツルとした泉質でした。
今回は滝の水しぶきをかぶることはできませんでしたが、良質のお湯をふんだんに楽しみ、ああ楽しかったと、鼻歌まじりに帰路についたのでありました。